第2章 初めてのキス。
「い、いやいや!何言ってるんですか!無理ですから!」
「何で?出来ないなら練習あるのみでしょ?」
美風さんはじっと私を見つめる。
「い、いや、美風さんは彼女と練習してくださいよ!」
私がそういうと、美風さんは首をかしげた。
「僕、アイドルだから彼女なんていないけど?」
「へ?あの作曲家の子は?」
美風さんは首をかしげて、
思いついたようにこう言った。
「ん?あぁ、春歌は事務所の後輩だよ。」
「あ、そうですか。じゃぁ、大丈夫ですね!」
…いやいや。
大丈夫じゃねぇよ!
自分で言って心の中で自分でつっこんでしまった!
「ほら!そうと決まれば行くよ!」
そう言って美風さんは私の手を引いて歩きはじめた。
「へ!?あ!?ちょっと待って!?」
私の意見も聞かず、
美風さんはどんどん私を連れて歩きはじめた。
思ったより力が強い。
やっぱり男の人だなぁっと…
勝手に感心してしまった。
…
って!感心してる場合じゃないっ!!!
「ま、待って!美風さん!どこ行くの!?」
「ん?僕のスタジオだよ。下手なところでキスしたら写真撮られちゃうでしょ?」
美風さんは気にせず歩いていく。
「いや、そういう問題じゃない気が…」
「うるさいなぁ。練習しなきゃ出来ないんだから黙ってついてきてよ。」
私がごちゃごちゃ言うのが気に食わなかったのか
睨みつけるように美風さんは私を見た。
「はい。すいません。」
私は思わず怯み、
言う通りに従う。