第2章 初めてのキス。
TAKE2。
次は思ったよりも間が長く、
私は思わず、表情を崩してしまった。
それから何回も撮影を重ねるが
この日は結局上手く行かなかった。
「すいません。」
私が頭を下げると、
監督は「次あるから!」と気さくに言ってくれた。
私は思わず溜息がでる。
私が足…引っ張ったよね…。
そんな事を考えていると、
美風さんが私の前に現れた。
「…あ。」
当然怒っているよね…。
私は思わず怯む。
「あ、あのさ、今日の事なんだけど…」
美風さんは無表情でそう言った。
「すいません!」
私は大きく頭を下げた。
「ち、違うんだ。その…僕が悪かった…ごめん。」
そう言って美風さんが頭を下げた。
「…へ?」
思わず驚いてしまう。
「僕…キスとかした事がなくて…間とか…そういうのわからなくて…ごめん。」
美風さんも
私と同じだった。
「わ、私もです!私も…わからなくて…。」
私がそういうと、
美風さんは驚いたような顔をしていた。
「ねぇ、一緒に練習しない?」
美風さんは思いついたようにそう言った。
「練習?…なんのですか?」
私がそういうと、
美風さんは溜息をついた。
「キスに決まってるでしょ?」
あぁ。
キスの練習ね!
…
…
…
「はぁ!?」
その衝撃の提案に
思わずアイドルらしからぬ
驚き声を出してしまった。