第2章 初めてのキス。
家に帰ると、
何度も何度も台本を読み直し、
必死でイメージを広げる。
どんな風に気持ちを表現すればいいか…
どんな表情でキスをすればいいか、
でも、私自身が一回も経験した事ないので
結局はよくわからなかった。
その日は諦めて寝た。
そして、次の日も
ずっと考えていたが、
考えがまとまらないまま
時間だけがすぎてしまい…
気がつけば、
撮影の時間になっていた。
美風さんや皆に迷惑かけないようにしないと…。
そう思いながら…
水面にキレイな満月がうつる
湖畔へと足を踏み出した。
「…よろしくおねがいします。」
「ん。よろしく。」
月明かりに照らされた美風藍は
すごくキレイだった。
でも、
その表情は相変わらずの無表情で
きっと余裕なんだなと…
私はより一層プレッシャーを感じた。