第2章 フィールと契約
「改めて、こんにちは。俺はフィール・ラルチァ。信じられないかもしれないが、俺はある世界で神をやっている。」
「・・・。」
「うん、わかってたよ。その可哀想なものを見る目。」
「・・失礼。」
普通に信じられない。
これならただの誘拐犯を相手にしてたほうが早く帰れそう。
「それでね、雪。君の生まれは俺の世界なんだ。」
「え、どういうこと?」
「雪のいた世界、地球は雪の生まれたところじゃなく仮宿みたいなところだったんだ。」
何言ってるの、この人。
だって私の記憶には地球で過ごした記憶しかないのに。
「雪の居るべき本当の世界はGINOっていう世界。」
「ジーノ・・・。」
初めて聞くのに不思議と違和感はない。
「あ、ジーノっていう所はね」
「待って。ストップ。」
楽しそうに話し出すフィールを制し雪は今まで生きてきた17年の地球を思い出す。
ねえ、怜音。
私たちが過ごした日々は何だったの?
もちろん問いても答えはないが思わずにはいられなかった。