第2章 フィールと契約
ダメだ。
状況は今だ掴めないが、このまま考えても埒が明かない。
「ごめんなさい。話を遮ってしまって。話を聞かせて下さい。」
「うん。ジーノっていう所は・・・うーん。この世界でいう魔法みたいなのがあるんだ。」
「魔法?」
「そう。特殊能力みたいなもの。これは実際見た方が早いから、ジーノで見てね。」
雪はファンタジー系の物語はあまり読まないのでうまくイメージできなかった。
地球では物語上のことがジーノでは現実のものとして在るということに不安になる。
「まぁ、変わってるのはそれだけかな。この世界に魔法を足したような世界だと思ってくれれば大丈夫!」
「そう。でも私、魔法なんて使えないわよ?」
「…うん。君がジーノを離れる時、俺に預けたからね。」
私がフィールに預けた?
私はフィールと初めて話したんじゃなかったのかな。
きっと私が忘れていて、彼は覚えているのだろう。
そう思うと少し申し訳なく思った。