第2章 フィールと契約
人は見かけによらないものなんだな、と判断しながら慎重に言葉を選び口を開く。
「ごきげんよう、誘拐犯さん。いくら請求するおつもりですか?」
下手に低姿勢をとると相手の思う壺になると雪は考え若干挑発的に声をかけた。
「え、違うよ。誘拐だなんてとんでもない!」
「?」
「俺は雪、君を迎えに来たんだ。」
雪はゾワッと鳥肌が立った。
愉快犯・ストーカの類か!?
「生憎、あなたの事は知りません。帰してください。」
「うん、わかってるよ。けど、残念だけどそれは出来ない。」
「なんでよ。」
「雪、帰ろう。」
「は!?」
何なの、この人!
帰らせてと言ったら断り直後に帰ろうと言う。
読めない・・・。狙いはなに?
怪訝な顔する雪に青年は咳払いをした。