第2章 フィールと契約
しばらく待つが応答はない。
雪は今までにない緊張感を覚えながら感覚を研ぎ澄ます。
何で反応しないの?
私の反応を楽しんでるわけ?
誘拐しといて事を進めることへの要領の悪さに苛立ってきた雪は背後から近づいてくる気配に気づけなかった。
「やぁ!」
「!!」
雪は咄嗟に回し蹴りからの肘鉄を繰り出すが相手はいとも簡単に避け、一歩下がった。
雪が気づけなかったのも無理はない。
対峙してもなお、相手からは気配が感じられないのだから。
「ごめんね、手荒な真似して連れてきちゃって。」
あわよくば自分1人で逃げ出すつもりだったが相手の力量は相当のものだろうと雪は判断して相手を注意深く伺う。
金髪に青い瞳が印象的な美青年。
なんでこんな人が私を誘拐したのだろうか。