第6章 西聖院学園と制度
うーん、困ったな。
好きな食べ物とか言えばいいかもしれないがジーノと共通しているとは限らない。
ジーノ流の自己紹介を智明と練習しておくべきだった。
「じゃあ、僕が自己紹介するよ。」
口を閉ざした雪を気遣って翔が笑いかける。
雪も眉を下げたまま笑い、耳を傾ける。
「僕は戦闘型のCランクで草花のレガンス。東條家の息子として生まれたけどレガンスが弱かったから継承権は弟に譲ったんだ。西の土地との争いを避けるため東代表としてこの学園に通っている。」
「それって、」
「人質みたいでしょ。でも、いいんだ。これで少しは東條の名を無駄にせずに済むから。」
翔はニコニコ笑いながら話す。
本当に何とも思っていないようだ。
「ラーチアと関わりのある子が現れたからどんな子かと思ったけど・・・。」
チラリとこっちを見る翔と目が合った。
「僕と少し似ているね。」
「え?」
「本来力を持っている立場なのに持てずにいる。不条理なことだよ。
だから、君の事は出来る限り守りたくなる。」
「そう・・・。その言葉が本当なら信頼するわ。」
「ありがとう。」