第6章 西聖院学園と制度
一方、理事室を出た雪は翔の案内で入った更衣室で新しい制服を着ていた。
地球で着ていた制服よりも短いスカートに履くのを躊躇したが指定されているのでギリギリまで伸ばして履いた。
少し大きめだと思った制服のサイズは着た瞬間に体にフィットするように伸縮した。
着ていた制服は折りたたみ手に持って部屋を出る。
「お待たせ、翔。」
ドキドキしながら部屋を出て名前を呼ぶと翔が顔を上げた。
地球にいた頃、学校で誰かを敬称なしの名前で呼ぶこともなかったため少し緊張してしまう。
「雪さん、似合ってる。」
「ありがとう。着方あってるかな?」
「うん。多分大丈夫だよ。」
翔が少し顔を赤らめて褒めてくれたので安心した。
「職員室に案内するよ。」
「行くまでの間、学園のこと教えてくれる?」
「もちろんだよ。その前に互いに自己紹介しない?」
「・・・私、名前以外に紹介できることなんてないの。」
雪は少し考えて躊躇いがちに告げる。
翔は少し不思議そうな顔をした。
「君の事情は大体聞いてるよ。記憶がないからって名前だけってことはないだろう?」