第5章 理事長と対面
この姿で寝るから智明より早く起きるはずだったのに、自分が思っているよりも疲れていたみたいだった。
「イヤ、キニシナイデ。サキシタイルカラ。」
智明は不自然に話しながら悠の腕を引き退出し扉を閉めた。
雪はそろりと立ち上がり素早く昨日と同じ制服を身に着けていく。
今日、これからの事が決まると思うとすごく緊張してくる。
皺や埃をチェックした後洗面台で軽く身支度を整え制服に入れてあったリップを塗る。
「っよし!」
気合をいれて踵を返し一晩お世話になった部屋を出た。
階段を下りてリビングに入るとすでに3人揃っていて彼らも昨日と同じ服を着ていた。
3人一緒の服ってことはきっと制服なのだろう。
白いブレザーにズボン。カッターシャツが黒く襟元にはそれぞれバッチが付いている。
各自着崩していたりするがとても様になっている。
「おはようございます。遅くなってすみません。」
頭を下げ声を掛ける。
「いい。もう出れるか?」
許しの声で頭を上げれば零と視線が合う。
彼の真っ直ぐな視線も昨日のままでやはり疑っているのか冷たい。