第4章 立場と強さ
驚愕しわずかに赤面した悠は雪の手を引く。
「っきゃ・・。」
体が傾き頭部が悠の腕に包まれた。
腰は智明に支えられ上半身は悠に傾くという何ともバランスの悪い姿勢になってしまった。
「それなら俺の部屋に来てください、雪先輩。」
「何言ってるんだ。悠とじゃ安心できないだろ。」
「智明先輩だと安心できるって保障ないっすよね。」
いきなり火花を散らし始めた二人にどうしたものかと頭を悩ませる。
確かに智明は事情を知っていて頼れるが悠にだって危害は感じられない。
このまま行くと厄介な質問が回ってきそう。
「「雪(先輩)はどっちと寝たい?」」
・・・こーいうね。
「私はそこのソファーでいいです…。」
「女の子をソファーなんて無理。」
「それでは空き部屋とかで」
「お客さんとか来ないから今は何もおいてない部屋しか空いてない。」
別に一緒に寝るのが嫌というわけではない。
ほんの数日前に幼馴染の怜音の家に泊まったとき同じ布団で寝てたりしたから。
だが一般的に見れば易々と男の人と同じ布団に入ってはいけないことぐらい雪だって理解している。