第4章 立場と強さ
早々に会議を切り上げ零は部屋を出た。
「零!」
早足で去る零を昴が呼び止める。
「明日雪ちゃんを連れてきなさい。朝一番でね。西の土地に居る間のことはその時話そう。」
「わかりました。生徒が登校する前に行きます。」
「あぁ、よろしく。」
頷いた昴に一礼して零は再び歩き出す。
一人の少女のために條家が集まり揉めるなんて想像していなかった。
意志の強さを表した瞳に似合わない柔らかい空気を纏う女。
頭に残る真っ直ぐな視線を思い出しながら首を振る。
認めない。
女だからとかではなく、単純に臭うのだ。
零は鼻をこすりながら寮に向かった。