第4章 立場と強さ
この会議も意見を交わされることなくもう終わるだろう、と零が思ったとき若い声が聞こえた。
《その子ってラーチアなの?》
東條の次期当主か。
零と同じ立場である東條の次期当主を零はあまり好きじゃなかった。
「今のところラーチアではない、という結論だ。」
《そっか。見えざるレガンスって何だろう。気になるなぁ。会いにいっていい?》
無邪気に聞いてくる声に「いいわけないだろ!」っと怒鳴りそうになるがギリギリ押さえる。
「話の途中でしたね。彼女は記憶がないそうで、使命感だけを抱えております。ジーノの世界のこと何一つ理解していません。」
《へぇ。それはそれは。》
「なので、彼女を混乱させないためにもしばらく干渉しないでいただきたい。」
《えー!ずるい!!》
「は?」
有無言わせない口調に子供じみた返しをする彼に弟の顔が重なる。
これだから年下は・・・。
《確かに西條ばかりは良くないな。》
《ラーチアの遺品もある。彼女の記憶を戻すためにも色んな土地を見るべきじゃないか。》
呆れてた零に追い討ちをかけるように條家が意見を被せてきた。