第4章 立場と強さ
《遅いんだよ、ひょろ男。》
まっさきに冷たい言葉をかけるのは北の当主。
《何が重要だ。今この世界に重要なことが怒るわけないだろう。》
続く東の当主の言葉も冷めている。
今の代の当主になった者達がクールなのか、昴が好かれてないだけかは零にもわからなかった。
「それが起きたから聞きたくない声を集めたんだ。な、零?」
フフンと(見えないのに)ドヤ顔を決める父を見ながら零も画面の前に歩み出る。
「申し訳ありません。非常事態に父も浮かれておりまして。私としても皆さんの声を聞くのは不本意なのでどうぞ黙って聞いてください。」
悪意なく本音をこぼす辺り、零も昴と似たところがある。
反論の声が上がるかと思ったが画面越しの相手たちも早く終わりたいのか静かだ。
手が届かない画面越しでピリピリするのだ。
次彼らに会ったら手を出さずにはいられないだろうな、と零は思い口を開く。
会議だと言っても意見を聞くつもりはない。
向こうもそれを分かっているから、これは連絡事項みたいなものだ。
定期的に開く会議のように意味なさないものになるだろうと零は思っていた。