第1章 私と幼馴染
雪と怜音は反射的に顔の前でクロスし、目を瞑った。
大きな風は2人の体に当たり、吹き抜けていった。
わずか数秒間、体が飛ばされぬよう足を踏ん張ることしかできなかった。
風が収まり怜音は止まっていた呼吸に少しむせながら息を吐いた。
「っっとに、何だよ!ビックリした・・・な・・?」
普段ない体験にちょっと興奮しながら雪のほうを向いて怜音は固まった。
雪がいないのだ。
風に飛ばされたのかと辺りを見渡すが怜音が道に立っている以外に人はいない。
「雪・・・?おい、雪!!」
声を荒げて探し回るがどこにもいないのだ。
くそ、どうして・・・。
怜音は携帯を出して通話ボタンを押す。
木下家にも電話をかけ捜索に出てもらうことにした。