第4章 立場と強さ
零は雪を信じていないから情報を集めても無駄だと思ったのだろう。
「レガンスチェックとランクチェック、できれば系統もチェックしてください。」
「情報は多いほうがいいもの。任せて。」
美鈴は智明の後ろに控えている雪の目を見る。
もうすでに元の暗いブラウン色になっている瞳を注視しながら手を差し出す。
「私は千堂美鈴。この学園の技術教師兼レガンスチェッカーワークスの職員です。」
「雪です。」
差し出された手に自分の手を重ねる。
「これから3つの検査を受けてもらいます。緊張しないで軽い気持ちでやってくれれば大丈夫だから。」
「わかりました。お願いします。」
ペコリとお辞儀する雪に美鈴はラーチアっぽくないな、と思っていた。
纏う空気は確かに異質に思うが、柔らかい物腰に意思が強そうな瞳。
記憶がないせいかラーチアという存在を良く分かってないのだろう。
色々心配にはなるが美鈴は表に出さず雪に笑いかけチェック室へと案内する。