第4章 立場と強さ
「雪。今日はもう休もう。」
「はい。」
「雪先輩寮来るの?」
「あぁ、心配だからね。」
「やった!」
零がいなくなったこともあり、その場の空気が和らいだ。
雪もひとまず居場所を手に入れられて安心した。
これから先どうなるか分からないが、まずはこの世界について知り慣れることが先決だ。
「雪、ついておいで。俺らの寮へ行くよ。」
「大丈夫なんですか?零さんは嫌がっているように見えました。」
「心配しないで。」
ニッコリと言われれば従うしかなく、歩き出す智明に着いて行くことしかできなかった。
「御園君。少し時間ないかし?」
入り口で立っていた女性、美鈴は智明が近づくと一歩前に出て呼び止める。
「美鈴さん。何ですか?」
「彼女…、雪ちゃんのレガンスチェック出来ないかしら?西條君は必要ないって判断したけど話し合いするのに雪ちゃんの情報が少なすぎるわ。」
渋い顔の美鈴に智明も「一理ありますね。」と少し考え込む。
少ない情報での話し合いは良くない結果を生むことが多い。
情報は大いに越したことない。