第4章 立場と強さ
零はげんなりした顔で会話に入った少年を見る。
「悠。状況わかってんの?」
「わかってるよ。そこの女の子はラーチアの加護を受けた人で前代未聞の存在だからこれから話し合いするんでしょ。その間彼女をどこに置いておくか揉めようとしている所ってとこ。」
ご丁寧に解説した悠と呼ばれた少年は零から視線を外し雪を見る。
「はじめまして。西條悠(サイジョウユウ)です。」
「雪です。」
人懐こい笑顔を浮かべる悠に雪も安心して顔を綻ばせる。
「どのぐらい記憶ないの?年とかわかる?」
「私は16歳。高2になる年だよ。」
「じゃあ俺の一個上だね、雪先輩。」
楽しそうに話す悠と雪を見ながら零はため息をつく。
「智明。どこに泊めるかはお前に任せるよ。ただし、寮に泊めても俺はいないから責任は智明が取れ。」
「うん、わかった。」
零は智明が頷いたのを確認するともう一度雪を見て一人教室を出て行った。