第4章 立場と強さ
どんなコンクールでもスピーチでも公の場の社交辞令にも臆せず挑めた。
けど、それはたくさんの練習や経験、自信があったから。
理解できていない力を、物語上の力を使うなんて無謀すぎる。
それでも雪はやらなくてはいけない。
「ふぇ・・・。」
ピンッと張り詰めた空気の中、人は無性に耐えられなくなることがある。
今の雪はまさにそれで、鼻がむずむずしてくしゃみがでそうなのだ。
今はダメ。
こんな空気でくしゃみなんてできるわけないのに生理的現象は雪の意思関係なく刺激してくる。
「ふぇっっくしゅっ!!!」
「「「っ!!?」」」
パリリーンっ!
我慢できずに出たくしゃみと同時に雪のレガンスが発動し雪を中心に風の輪が広がり教室の窓を割って外にそよいでいった。
咄嗟に各々が防御をした所だけが何もなかったかのように見えた。