第4章 立場と強さ
智明は雪を庇うように後ろに下がらせた。
少しの間が空いて扉が静かに開いた。
「悪かったよ、勝手な行動して。」
「動くなよ。」
ツリ目の少年、零は辺りを警戒しながら教室に入ってきた。
後ろには地を操っていた少年とモニタリングしていた女性も一緒にいた。
「その女と消えたのは何故だ。」
「彼女がレガンスを使ったときの瞳の色が青かったから。」
「っ!そんなわけ・・・。」
パチリと雪と零と視線が合った。
雪は静かに深呼吸すると一歩前に出て智明の隣に並んだ。
智明は横目で雪の眼差しの強さを見つつ、まだ喋らないように手で雪を制した。
雪はそれに軽く頷いて答える。
「彼女の青い瞳を見たとき、傷つけてはダメだと思った。だから話せるようここに来ただけだ。」
「言えばよかっただろ。」
「西條。大勢に詰め寄られたら女の子なんだし怖がるだろう?」
零は小さく舌打ちするとツカツカと雪の元へ歩いてく。