第4章 立場と強さ
ダンッ!!
「「!!」」
レガンスがかけられている扉が大きく衝撃を受けた。
「御園さん・・・。」
「…ん、あぁ。雪俺を含めて名前を呼ぶときは苗字禁止ね。」
「え、何故ですか?」
「苗字は一族の誇りだからね。自分が認め、格上だと思い、厳選なる場でしか苗字は使わない。」
「だったら、問題ないですよ。私は」
「ラーチアになるんだ。この世界に君より格上の人物はいないよ。」
強い口調で言われ雪は口を閉ざした。
未だに扉は大きな音をたてている。
「加護を受けたって言い張るときも相手は自分より下だと想い、自分は特別だと少しでいいから思い込むんだ。いいね?」
「わかりました、智明。」
智明は満足気に頷くと雪の手を引き教室の真ん中まで移動した。
「智明、いるんだろ。今開ければ弁解の余地を与える。」
扉の向こうから少しくぐもった声がした。
「零、相変わらず鼻がいいね!」
智明は大きめの声で答え、自分のレガンスを解いた。