第3章 GINOとLEGANCE
「利用、ですか?」
由樹の怪訝な声に智明は頷いてこたえる。
「君はラーチアの加護を受けたってことにする。これから何を聞かれても“ラーチア様の意思によってあそこにいた。それ以外は思い出せない。”で突き通してほしい。」
「記憶はないけど使命感でここにいるってこと?でも、ラーチアってことは隠せって・・・。」
「そういうこと。隠しているさ。ただ加護を受けただけ。けど、周りの目には異色に映るだろう。遠巻きに見られたりするだろうからごめんね。」
「いえ、でも大丈夫なんですか?それで。」
「突き通せばこっちのもの。大丈夫、なるようになるよ。」
若干アバウトな気もするがこれが今の最善策なのだろう。
智明自身賭けに出た作戦だと思っている。
「わかりました。ラーチアだということを隠し加護を受けた記憶のない一般少女を演じて見せます。」
「うん。飲み込みが早くて助かるよ。」
演技は得意のほうだと自負している。
「最後に、俺とフィールの関係について軽く説明するね。」
智明は扉の前に移動しながら言葉をつむぐ。