第3章 GINOとLEGANCE
「ありがとう。加の者よ、一味となれ『錯光』」
智明はひねり上げていた雪の手を解放し、そのまま雪の肩を引き寄せ腕中に雪を収めた。
「智明!」
つり目の少年がさらに目を釣り上げて困惑したような、怒気したような声で名を呼ぶ。
智明と雪の身体は徐々に無色になり風景と同化した。
「あの、これは…?」
透明になった自分の身体に戸惑いながら肩に触れている智明だけを頼りに問う。
「しっ。走るよ。」
智明は雪の肩から手を離し今度は手を引く。
雪は状況を理解できないまま引かれるまま走り出す。
だけど、一つだけ理解できた。
この透明化やさっきの地面。それに、私が起こしただろう風。
こういうのがレガンスと呼ばれる特殊能力なのだろう。
「確か、雪っだっけ?」
「はい。」
「あまり説明できる時間がないんだ。さっきいたつり目の奴に透明化は通用しないから。」
「!?」
目に見えないものを捉えることが出来るってことかな。
一際すごい空気だったから只者じゃないって思ったけど本当にすごい人なんだ。
智明は一つの大きなドアを開けて雪と中に入り込むと透明化を解いた。