第3章 GINOとLEGANCE
男三人は数メートル離れた間合いで止まり両手を上げた雪を怪訝そうに見る。
「私の名前は木下雪です。敵意はありません。話をしませんか?」
「・・・捕らえろ。」
つり目の少年が隣の帽子男に目で合図する。
帽子男は返事することもなく、ゆっくり雪に近づいて行く。
雪はゴクリと唾を飲みながら様子を伺う。
帽子男は手を伸ばせば触れられる所まで近づいた。
「本当にこんな日が来るなんてね。」
帽子男がボソッと呟いた言葉に雪は首を傾げる。
「どういう意味で…っ!」
質問しようとした瞬間、帽子男は雪の背後に回り込み、動きを封じるよう雪の手をひねり上げた。
「くっ…。」
顔をしかめる雪の耳元で帽子男は耳打ちをする。
「手荒なことしてごめん。俺は御園智明(ミソノトモアキ)。フィールから君を頼まれている者だ。」
「!!」
「今、君を彼らに引き合わせるわけには行かない。着いて来てくれる?」
「・・・。」
雪は僅かに首を縦にふる。
目の前の二人に会話していることを悟られないようにするためだ。