第3章 GINOとLEGANCE
雪はハッと意識を覚醒させた。
夢でも見ていた感覚になるが、周りの景色が現実を教えてくれる。
見たことない場所に一人立っている。
1番に目を引いたのは大きな時計塔。
次に舗装され、長く続く道。
大きな教会や議事堂をイメージする場所に雪は降り立ったのだ。
うーん、どこだろう。
勝手に入っていいような場所にも思えないし門を探そう。
雪は地球と同じような風景に戸惑いつつ足を踏み出した。
瞬間、地面が盛り上がり一気に雪を覆うように形を変えていく。
「捉えた!」
数メートル離れたところで先ほどの年下男が確かな手応えを感じた。
雪は反射的に飛びのこうとするが四方を囲まれ逃げ道がなかった。
どうしよう…。
どうするべきだろう?
雪は極限の状態になり、心の奥が小さく熱くなった。
「道を開けよ『風来』」
雪は無意識なままつぶやき、手を横に切った。