第2章 フィールと契約
雪はドキドキと胸が高鳴っていた。
未知の体験に。
地球にいたら感じられなかった世界に。
『Mein Name ist Fühlen Raruchia. Es ist zu schaffen Zukunft ein Moment.(我が名はフィール・ラルチア。今を作り出し未来を創造する者である。)』
雪に聞かせたくないからか、言語を変えてフィールは言葉を紡いだ。
雪は全ては聞き取れなかったがドイツ語ということと、神であることを告げていることは理解できた。
「雪、手を。」
「?」
素直に差し出すとフィールは爪で雪の皮膚を破った。
フィールは自分の髪を抜き、地面に落とした。
「髪の上に手をかざして。」
「わかったわ。」
雪は躊躇する前に手をかざす。
『Lassen Sie das Versprechen eines Vertrages sowohl jetzt hier. Es sollte nicht im Namen Raruchia vergessen werden.(今ここに両者の契約を約束しよう。ラルチアの名の下に忘れてはならない。)』
フィールの髪と雪の血が触れると強い光を放った。
雪は目をしかめて、状況を見落とさないように目を開ける。