第2章 フィールと契約
それからフィールは目を伏せ、少し大きく息を吸い込んだ。
すると、フィールの背中から大きな純白の羽が現れた。
雪も見覚たことがある天使の羽みたいだった。
「綺麗…。絵画で見たことあるのとそっくりだわ。」
「ありがとう。」
少し照れたようにフィールは笑うと真っ直ぐに雪を見つめた。
「雪、本当に覚悟はできている?契約を交わせば地球に帰らずジーノに帰ることになる。・・・本当に君が望むのなら地球に帰すよ。」
「ふふ。今更ね。確かに地球への未練もあるし、覚悟だって中途半端よ。けど、私を必要としてるのでしょ?フィール。」
「うん。」
「だったら他に理由はいらないわ。私は故郷に帰るだけ。そうでしょう?」
「うん。」
ほんの数分で地球を離れることに躊躇いがなくなったのには雪自身驚いている。
雪は気づいたのだ。
ジーノに行きたいと思う自分がいること。
「連れてって、フィール!」
雪が言うや否、白い空間は魔法陣で埋め尽くされた。