第2章 フィールと契約
雪は気まずそうなフィールを不思議そうに見返す。
フィールは少し間を開けて口を開いた。
「俺が雪に与えるのは力・愛・証の3つ。これは元々雪のだったから返すって言った方がいいのかな。」
「私は何を差し出すの?」
「君自身だよ。」
「え・・・?」
私、自身?
そもそも返すものなら契約なんていらないんじゃないのかな。
でも意味がある契約なんだろうな。
雪は目線で続きを促す。
「君が亡くなった時でいいんだ。死後から先、俺の…もとに来て欲しい。」
「死後、から先。」
雪はゴクリと唾を飲んだ。
これから先の未来は全く想像出来ない。
死後の世界というものにも想像が働かない。
けれど、これは…。
「契約するしか先に進めないのでしょう?だったら、契約します。私、木下雪の死後はあなたのものです。」
悩んだって今解決できない。
死んでから今の私が軽率だったと思ってもそれは済んだこと。
フィールはあっさり契約する雪に目を丸くしたが、心底嬉しそうに笑った。
「ありがとう、雪。」