第1章 タイムスリップ
楓の指示で女を布団に寝かせ、状況を説明し、
しばらくしてかごめがやっと来たので
もう一度状況を説明し、
今はこの状況をどう解釈したらいいか考えている。
「この格好から判断すると、この子はきっと私と同じ時代から来た子だと思うの。」
「それにしてもよく寝るなこいつ。さっさと起きやがれ。」
「これ犬夜叉。見る限りこのおなごはやつれきってしまっておる。ろくに寝ていなかったのであろう。そっとしておいておやり。」
囲炉裏で煮物を炊きながらそういう楓を横目に、
犬夜叉は寝ている女の顔をのぞき見た。
確かに目の下のクマがすごく、やつれきってしまっている。
犬夜叉の視線を感じたのか、李衣が目を覚ました。
「あ、気が付いたのね!」
「…どちら様ですか…?」
「けっ!起きて第一声がそれかよ!」
李衣は状況がよく呑み込めない。
確か家の壁に吸い込まれて…そこから記憶がない。
しばらくの沈黙の後まず口を開いたのは楓だった。
「まあまずはこれを食べなさい。」
私の前においてくれた煮物は湯気が立っているしとてもいい匂いがした。
李衣は布団から這い出して正座をし、3人に深々と頭を下げた。
「はじめまして、私、一ノ瀬李衣といいます。突然気絶して途中からなにも覚えてないのですが、みなさんが面倒を看てくださったようで…お世話になりました!お邪魔しました!」
そういって立ち上がろうとする李衣の手を、
犬夜叉はとっさに掴んだ。
「これ食ってけ。」
目も合わせずにそっけなくそういう男の子。
年は同じくらいだろうか。
いや、待て待て待てよく見たら耳が…!?
いや今それはおいといて…
「これ以上お世話になるわけにはいかないから…」
「いいのよ李衣ちゃん!楓おばあちゃんの煮物おいしいよ?私はかごめ!よろしくね、李衣ちゃん!」
眼帯を付けてなぜか巫女服を着たおばあさんの名前は楓、
セーラー服を着た笑顔の素敵な女の子の名前はかごめというのか…
こんなによくしてもらってもいいのかな…
ていうか赤い服の犬耳ついてる男の子の視線が痛い…
李衣は座り直し、
「じゃあお言葉に甘えて…」
と、久しぶりに食事を摂った。