第7章 幼馴染と同郷組 by,幼馴染
アイト「後、死なない事。死んだら護るものも護れない」
ミカサ「…分かった」
取り敢えずは答えになっただろうか。質問されてちゃんと答えになってるかっていうのは正直自信がない。
石畳の道を通り抜けて訓練兵団の訓練所の近くに来た頃には舗装された土道に代わってきた。
ゲルハルト「よーし。着いたな」
アイト「あぁ。ってか、何でゲルハルトが来たんだ?」
当たり前のようにいて忘れていたが、先頭に立っていたゲルハルトにそもそも彼が来た理由を尋ねた。
輸送だけで彼が来るとは思えない。何かしら理由があると思っての質問だ。
ゲルハルト「あ? 1つは避難所建設の陣頭指揮。アイトより建設関係は俺が上だからな」
アイト「チェスは弱いのにな」
ゲルハルト「おい。―――――もう1つは…仕事だ」
アイト「あぁ…。目? 手?」
俺なりに目で見る情報収集か、手で葬る暗殺かって意味だったのだが通じたのか、少し嫌そうな顔をして溜息を吐きながら答えた。
ゲルハルト「あー…手」
門番に資材運搬での来訪を伝え、通された場所まで荷馬車を運ぶ。
ゲルハルト「こっちの建設指揮は俺がやっておくからアイトは教官達に挨拶して来いよ」
丁度エレン達もいるし、何処まで見ていいかの確認もあるからエレン達と駐屯兵から2人を連れて教官室へ向かった。
ミカサとアルミンはそこまで訓練所内に興味を示していなかったが、エレンだけはキョロキョロとあちこち見ていた。
迷子にならないように先頭に俺が、一番後ろに駐屯兵2人、そしてその間にエレン達が付いて向かった。
教官室前までやってきて、先に言って置く事があった。念の為だ。
アイト「エレン、仮に教官が嫌味な事言っても食掛らない様に。ミカサとアルミン、エレンを見ていてくれ」
エレン「何で俺だけ」
ミカサ「エレン」
教官の前に俺に食い掛かられてしまった。
「あの、自分たちはどうすれば?」
連れてきた駐屯兵の内、背の低い女性兵士が聞いてきた。
アイト「教官からは訓練所内で立ち入りを制限する区画もあるらしい。それを聞くから一緒に覚えてくれ」
「分かりました」
全員それぞれのやる事を確認し終え、教官室の扉をノックした。