第7章 幼馴染と同郷組 by,幼馴染
荷馬車と併走して駐屯兵と俺等はゆっくり訓練所のほうへと歩いていった。
此処からそう遠くはない。20分もあれば着くだろう。
アルミン「あの…聞いてもいいですか?」
俺と並んで先程の話の続きをしながら歩いていたエレンと一緒に着いて来ていたアルミンがようやく口を開いた。
アイト「どした?」
俺もエレンも後ろから着いて来ていたアルミンとミカサのほうに首を向ける。
アルミン「こんな事言うのも変かもしれないですけど…。指揮官なら…仮説所で指示出せば良いんじゃないんですか?」
アイト「あー…アルミンは椅子にふんぞり返って顎で駐屯兵を使う憲兵のイメージが強かったかな」
アルミン「……すみません」
ゲルハルト「ま、その意見間違ってないわな。殆どの憲兵は顎で駐屯兵を使いまくるからなぁ…」
それを庶民が知っているというのも嘆かわしい話ですな。
憲兵のイメージって本当に酷いんだ。
これは支持を得るまで時間掛かりそうだ。
アイト「さっきも言ったけど、オレはそんな連中を改善させる為に憲兵になったんだ。そんな俺が動かないでどうする」
アルミン「そう…ですよね」
ゲルハルト「説得力無いかもしれないが、今後コイツの配下に居る憲兵は安心していいぞ。何かしたらコイツが黙らせるだろうし」
アイト「既にこっちで3人配下に着いた」
ゲルハルト「調教……。矯正の始まりか」
アイト「そういう事だ。まだ頼りないかもしれないけど何かあったら俺を頼ってくれ」
アルミン「はい。ありがとうございます」
ガタガタと石畳の上を通過する荷馬車の車輪の音を騒々しく撒き散らしながら荷馬車と駐屯兵達は訓練所へと向かう。
道中、どうしても目立つ子連れの憲兵に変な視線を浴びせる民衆だったが特に何か言うわけでもなく荷馬車の進行を邪魔しないように道端に避けたりしながら見ているだけだった。
ミカサ「…アイト」
エレンの後ろに居たはずのミカサが気付けば真横まできてエレンとは反対側に着いて前を見たまま俺に問い掛けた。
ミカサ「大切なものを護るってどうすれば出来るの?」
大切なもの……。それが物か人か、どちらにしても答えは二つだ。
アイト「失いたくないっていう信念を持つ事。これ絶対な」