第6章 幼馴染と同郷組 by,同郷組
現場の指揮をリックに任せ、俺は目の前に座るトロスト区訓練兵団の教官達を相手に意見を述べた。
アイト「1つは民の兵団に対する不信感の払拭。ここで民衆に兵団は有事の際に柔軟性を持って民を受け入れ、護るという姿勢を見せれば私達に対する目も変わるはずです」
アイト「2つ目に兵団が如何に過酷な訓練をしているかという状況を民に見せる機会にもなります。これを見せる事に
よって兵団はただ飯喰らいの税金泥棒だと思っている者への牽制になります」
アイト「3つ目。これまで民衆に見られる事等無かった訓練兵は民衆に無様な姿を見せる訳には行きませんから一層訓練に対する姿勢を改める事と思われ、それは同時に成長を伸ばす事にもなると思われます」
アイト「そして4つ目。私はストヘスからトロストの治安維持と食糧生産向上の任務を受けて来ました。前者の任務を達成するためには現地の訓練兵団にも協力して頂かないと。……私からは以上です」
次は向こうからの質問が飛んでくるだろう。
教官「……1つ良いか?」
アイト「どうぞ」
教官「2つ目の意見だが…我々は確かに巨人を倒すべく過酷な訓練を行っている。しかし、それだけの訓練を行っているにも関わらず撤退を余儀なくされた今回の現状を指摘されたらどうする? 関心どころか不安にさせないか?」
さて、どう返したものか…。下手な返答は出来ないぞ。
アイト「確かに多数の死者を出しながら後退した事に変わりはありません。しかし、その犠牲があり、迎撃して時間を稼ぐだけの腕前があったからこそ今の避難民は生きているのでしょう? 彼等の犠牲が…それこそ此処で培った技術があったからこそ成せた事です」
少々強引だったか…?
アイト「それから…シーナより現在仮設テント一式を多数運ばせています」
教官は暫く悩む。背後に立つ若手の教官達と何か会話をして答えを出した。
教官「分かった。営庭を中心にその案を受け入れる。ただし、難民の兵舎内への立ち入りは禁止する。それで良いか?」
アイト「十分です」
取り敢えずは勝った。
教官との話を終え、俺は訓練兵団の敷地を出た。
出た時だった。
兵団の門の近くにある家屋の影からジッとこちらを見る少女の姿に気付いた。