第6章 幼馴染と同郷組 by,同郷組
リック「任務の前。ずっとボーっとしてた。普段のアイトじゃ有り得ない」
って事は、俺がアイトになる前から彼は様子が変だったのか。
そういえば、リックは俺のこと呼び捨てで呼ぶんだ…。
リック「そして未明…。アイトと合流した時もそうだった。何かに怯えていた」
それは…思いだした。俺がこの世界に来た時だ。
そりゃ血まみれでしたから不意に声掛けられて反応してしまったんだった。
リック「そしてお昼…私と片付けしている時、貴方は私の頭を撫でた」
え、なにそれ根に持ってるの。怖い…
リックはジッとこちらを見据え、言葉を続けた。
リック「普段のアイトは…私にあんな事しない」
詰んだ。この子は観察力が鋭いらしい。っていうか警戒心が鋭い? とにかくコレはヤバイ気がする。
リック「貴方…だれ?」
リックが僅かに手を動かすと、着ているローブの裾の影から光る何かが見えた。
間違いない。刃物だ。
場合によっては俺を此処で仕留めるつもりらしい。
恐らく彼女の推測では俺は昨夜からアイトとは別人の人間が成済ましていると考えているのだろう。
間違っては居ない。むしろ大当たりだ。
リック「答えて…。」
さっきまでとは違う威圧感。
いや、これが殺気というやつか。とてもじゃないが嘘は言えそうにない。
……仕方ない。此処は素直に話してみよう。
夢の中とは言え生きた心地がしない。
アイト「分かった。ただ、信じられないと思うぞ? それでも良いか?」
リックは黙って頷く。
俺はこの世界にいる理由を話した。きっと、いや、間違いなくこんな話信じてもらえるわけが無い。彼女達にとっては此処が現実世界なのだから。
そう思いつつも僅かな可能性に掛けて必死で説明した。