第6章 幼馴染と同郷組 by,同郷組
ガタガタと揺れる馬車。
朝日が出る前から出発した馬車は南にあるトロストへと向かう。
その荷台には俺とリック。それから俺達の荷物だけが載っており積載量はかなり余裕がある。
その甲斐あってか昼前には着くそうだ。
しかし、まだ朝日も昇らないこの時間。
今から昼前というなら5、6時間と言ったところか。
それまで、
リック「………」
アイト「………」
リック「………」
アイト「………」
リック「………」
アイト「………」
この沈黙の空気は俺には耐えられない。
何で彼女は向かいではなく横に座っているのか。
あ、そうか。俺この子に好かれているんだった。(ウェン談)
しかしこの沈黙はキツイ。
何かしら話題を振るか。
アイト「あー…リック達って何処の区の訓練兵団から来たんだ?」
同い年という事は同期だろう。
この質問をした後に後悔したのは同じ地区だったらどうしようだが、確率は8分の1。早々同じと言う訳ないだろう。
リック「……アイトと同じクロルバだよ」
はい、フラグ余裕でした。
アイト「あ、あれ…そそそそうだったっけ?」
いかん、柄にも無く動揺している。
コクリと頷くとリックはそのまま続けた。
リック「アイトが主席で私が次席。ウェンが3番だった」
アイト「」
今、この子の内心が目で分かる。
昨夜のアイリスによるヤンデレ演技の時と同じだ。
目から光が無くなっている。
そして内心こう思っている。
『なんで忘れちゃったの?』
あ、これ包丁あったら刺されるパターンだ。
昔ネットで見た作品にあったな。
「かなしみのむこうへと…」そんな歌詞が今も頭から離れない。
リック「アイト…一昨日からヘン」
一昨日…任務前日か。
アイト「どう…変だった?」
この子の目。全て見透かされているようで下手な嘘が言えそうに無い。