第5章 役目
眠ったアイリスを抱きかかえてベッドに寝かせ、先程の話を思い返した。
アイリスはトロストで勅令憲兵で暗殺を主に取り扱っていた。トロストに良い思い出が無いのも納得だ。
確かそもそもの罪状は機密情報漏洩。公園での話を聞く限り上層にとって不利な情報を掴んだからだろう。
ストヘスで贈収賄の受け取り拒否してその後左環で飛ばされて…。それでもトロストで密かに探し続けて、彼女は根っから真面目な子みたいだ。
この世界じゃ早死にし兼ねないタイプかもしれない。
此処までの情報を纏める限り、トロストもまた憲兵団は贈収賄の話がある。
そしてアイリスの事を知る人物もいるだろう。二年も居たんだ。そりゃ覚えているだろう。
トロストの憲兵達には俺等が諜報部の人間である事は伏せられている。ただ、ストヘスからの視察と応援とだけ知らせているらしい。
犯罪者とはいえそれを知っている者は極一部だとアイリスも言っていた。その限りだとその辺の心配はないだろう。
仮に疑われても其処にいるんだ。『無罪証明で釈放された』っと言えば納得するだろう。
頭に入れておく事は、
・諜報部ではなくストヘス区憲兵団からの応援であること
・トロスト区の憲兵団はこちらより質が悪い。賄賂持ち掛けの話も覚悟しておく。
色々疑問な所もあるが今は目先の事だけ済ませよう。
時計を見ると一時間は経っていたが出発までまだ時間がある。
もう一眠りできそうだ。
寝室に戻り掛けた時、重大な事を思い出した。
………俺も健全な16歳だ。だが紳士。流石に女の子と同じベッドで寝るのは気が引ける。ソファで寝よう。
いや、ほら…ね? 良く無いじゃん? 誤解されたら大変ジャン?