第3章 おはよう三次元
こんな時世でも露店、商店は活気がある。
行き交う人々、仕事に精を出す人々。それぞれだ。
アイリス「ローゼにもコレ位活気があると良いけど…、流石に先月の事もあって最前線のトロスト区等の住民は消沈してましたね」
…大海を知らず、だった。
アイリス「マリアにいた住民もかなり被害を受けました。特に区外の村や山村等は巨人襲来の報告より先に巨人が来てしまったのもあり…」
アイト「悔やんだ所で仕方ない。今は俺達が出来る事をするだけだよ」
アイリス「じゃあ…商会が貯め込んでいる食料分けます?」
アイト「大暴動、略奪が発生して人類は滅びの道をすすみたいならどうぞ」
アイリス「軽率でした。ごめんなさい」
気持ちは分からないでもない。しかし、目先の善意が必ず正しいとは限らないのもまた事実だ。
アイト「で、何を買いに行くんだ?」
人々が往来する街中を横に並んで二人で歩きながら隣に居るアイリスに問う。
アイリス「それなんですけど、実は特に買う物がなくて…」
アイト「……は?」
アイリス「本音を言うとただアイトさんと外に出たかったのが本心です。最近お疲れっぽかったので私なりの気遣いです」
ニコッと隣に並ぶ少女は笑う。
本当にこの子は…、
アイト「そっか…。ありがと」
リックより多少雑だが頭をワシャワシャする。
アイリス「うにゃ! もっと優しくして下さいよぉ…そんなに激しくされたら…」
そこまで言い掛けて周りで往来していた市民(主に男性)がガッとこちらに振り向いた。
アイリス「髪がぐしゃぐしゃになるじゃないですかぁ…」
振り向いた市民(主に男性)達は舌打ちや爆ぜろという言葉を残して過ぎ去っていった。
アイリス「そんな訳ですから今日はアイトさんの行きたい所に行きましょう! 何処行きます?」
いや、俺正直そこまでこの世界の地理詳しくないんだよ。
じゃあ…
アイト「なら、避難民の居る地区に行って見たいんだが…」
アイリス「え、このストヘス区から一番近いカラネス区でも早馬で夕方になりますよ?」
アイト「幸い制服じゃないから一般人に紛れてれば兵士とバレずに宿位借りられるだろう」
アイリス「お泊りする気満々じゃないですか」
大体、憲兵外されたのに憲兵団の制服着用って変だよな。