第12章 日本の夏! 壁殴りの夏!!
リック「難民の開拓地への手続きがほぼ完了した」
アイト「早いな」
顔を洗い終え、二人で相変わらず不必要に(この世界では)豪華なモーニングを食べながらリックが言った。
口に運びかけたパンを戻し、今後について聞いた。
アイト「じゃあ、もう移動できるのか」
リック 「えぇ。元技術職の人は組合関係が働き口を斡旋してる。開拓地にいくのは殆どがマリアでも農業をしていた人達」
この子は本当にしっかりしている。手に入れたスキルは相応しい場所で扱うのが一番良い。
それを分かっていて組合にも声を掛けていたのだろう。
幸い、こちらには今押収した支部長やらの賄賂分の金がある。医療従事者や協力者に配ったがまだ残っている。
リックの話では協力してもらい、仕事先が見つかれば仲介料として組合にも支払うと言ったらしく、効果は期待出来そうとの事。
そして、それでも残る賄賂と、これから押収すら商会の脱税金。
アイリスのくれた資料を見る限り、トロスト区内の商会の三分の二もの商会が憲兵団に賄賂を送り納税額を誤魔化しているみたいだ。
こちらは脅す材料を揃えてから頂こう。
そして、この支部長達から巻き上げた賄賂分だが、難 民たちに配るのも良いかもしれないけど、 それは目先の効果しか出ない。
もっと永続的なものを……。
アイト「俺は今日開拓地を見に行くけど、どうする?」
リック「休日なのに?」
アイト「勿論避難所に寄ってからだよ」
リック「話聞いてる?」