第10章 2=1+1=2
リックと別れ、避難所の方へ向かう足取りが少し重く感じる。
リックの話だと後一ヶ月か二カ月で避難民は開拓地に行く。
実質友好関係を築くタイムリミットはこれだけしかない。
奔走する事になりそうだ。
専門職を持っている人物達は引き続きその仕事でどうにかなるかもしれないが、それでもそれで食べていけるのは極僅かだろう。
そうなるとやはり殆どの住民は開拓地行きになる。
どうするか・・・。
「お疲れさまです。アイトさん」
考え事をしていたせいか、その声に気付くのに少し時間が掛かった。
アイト「・・・あ、ごめん。直っていいよ」
いつの間にか避難所の前まで来ていた。
敬礼を解かせた駐屯兵は何やら不思議そうな顔をしている。
アイト「・・・どうかした?」
俺の質問に駐屯兵はややばつが悪そうにして答えた。
「いえ、こんな事言っていいのか・・・・・・」
アイト「いいよ。それでどうこうって言う程俺も馬鹿じゃないよ」
「・・・・・・では。アイトさんって憲兵らしくなくて・・・」
アイト「」
え、なにそれ心が痛い。