第9章 探偵は風呂BARにいる(現在進行形)
支部長の引き吊った笑顔に見送られ、俺は支部長室を後にした。
殺気とも言える感覚に背中を押されて部屋を出ると、外にはリックが待っていてくれた。
小柄で小動物みたいな雰囲気を出すリックに内心癒されつつ、結果を報告した。
そうそう、あの三人には朝食後からローゼ内の開拓地を回ってもらっている。生産状況を聞き出してもらい、それから何が足りていないかを聞いてもらうため。
あの三人だけで大丈夫かって?
大丈夫。ノルマを達成しなかったらリックのお手伝いをしてもらうと言ったら喜んで馬に跨がって出て行ったから。
リック・・・、君はどんだけ彼等をこき使ったんだい。
支部長から没収基、押収・・・基、頂いたお金の半分はストヘスにいるアイリスに送った。
医薬品関係を提出した場所宛の金だ。
残りはトロスト区で協力してくれる医療従事者に配る。
避難所に着くと、昨日駐屯兵に頼んでいた結果が既に出ていた。
給金が出るという事でシガンシナやその界隈で医療関係者だった難民を中心に駐屯兵のテント前に集まっていた数にして15人ちょっとだ。
悲しきかな、トロスト区内の医療従事者はあまり加担せず、自らの診療所で手一杯と拒否された。
こればかりは何処も状況が似てるので仕方あるまい。
今回の医療従事者の内、4名が内科外科関係。残りは看護士等の補佐ということ。
それでも大半は長く勤務していたらしく腕には自身があるそうだ。
名簿も出来上がり、彼等には早速業務に取り組んでもらうことにした。
これでひとまず医療方面は何とかなるだろう。
次は・・・あぁ。色々あるがそもそも此処の避難所は何時までなのか聞いていなかった。
何時から彼等を開拓地に送る予定なのか・・・。
ちょっと聞いてみるか。