第7章 幼馴染と同郷組 by,幼馴染
彼女にニコリと笑いながら良い名前だね、と言うとアニは相変わらずの無表情で俺を無視してまた夜空を見上げた。
アイト「俺もさ、子供の頃はよく空を見てた」
アニ「何処の出身なの」
こちらを見ず、空を見上げたまま今度は俺に質問を投げ掛けた。
アイト「いや・・・それは分からないんだ」
アニ「え?」
アイト「その辺りの記憶がちょっと無くてね」
嘘ではない。今のアニと同じ位の時の記憶はあまりない。
いや、思い出したくないだけかもしれない。
俺の言葉を聞いたアニは見上げる顔をこちらに向けた。
アニ「見ていた覚えはあるのに何処にいたかは分からないんだ」
アイト「あぁ」
アニ「変なの」
アイト「ごもっとも。でも、それでも良いと思っている」
アニ「昔の思い出が無くても?」
良いと思っている。今現代の学生生活は凄く充実している。
学校に行けばバカな話をしたり出来る友達がいる。特にあの双子。リックとウェンみたいなあの双子はよく絡んでくる
子供の頃とは全く違う。
アイト「思い出せないのなら仕方ない。でも、今の環境も嫌いじゃない」
アニ「・・・・・・・・・」
アイト「どした?」
こちらを見る目付きが違う。さっきまでの鋭さが更に増している。そして、口調を少し強くして俺に言った。
アニ「・・・憲兵は良いね。食事にも困らない。私達が一日にパンを食べれるか分からない状況を知らないからそんな事言えるんだね」
しまった・・・・・・。
彼女の俺を見る目は俺でも分かった。
あぁ、コイツもやっぱり憲兵か。という目をしていた。