第7章 幼馴染と同郷組 by,幼馴染
日の暮れた中、避難所内を一通り見回して特に異常が無い事を確認し、夜勤の駐屯兵に一言声を掛けてから支部に戻る事にした。
ゲルハルトは商会から離れた宿に泊まるらしい。
日が暮れて辺りが少しずつ薄暗くなっていく。
避難所には駐屯兵の持つ松明の灯りだけが灯り、町の方は夜間営業の酒場以外は殆ど灯りが落ちている。
電気のない生活、か。
現代が当たり前すぎて少し違和感を感じるこの世界。
賑わっている場所は夜でも明るい。それは決して常識ではない。
むしろこっちが現実的だ。暗くなったら寝る。何時までも起きていないで寝る。
きっと日本の江戸時代とかもこんな感じだったのだろう。
駐屯兵に挨拶を済ませ、避難所内を巡回して回る。
寝所のテントが並ぶ場所には暗いながらも中に人がいるのが微かに分かる。
其処から聞こえてくる話し声。寝息。
そして啜り泣く声。
その女性の啜り泣く声に一瞬本気でビビった。
だがその泣く声の主は直ぐに分かった。
女の子だ。
暗がりで誰かは分からないが、ふと頭に過ぎったのは昼間に俺をストーキングというなの迷子の女の子だった。
しかし、わざわざテントに入って確認でもしたら俺は危ない人だ。
何で泣いているのか。理由は数あれど不覚干渉しては行けないこともある。
夢の世界と言えども、だ。
テント区域で特に異常は見られなかったが、異常は配給を行う広場で発見された。