第2章 幕開け
狭い路地にペンキでもぶちまけたかのように飛び散る液体。
そしてその地面には何か丸々とした物が横たわり、ローブの人物たちが布に包んで行く。
少しすると、ローブの人物は作業を止め、辺りをきょろきょろ見回し始めた。
そして目的の物が見つかったのか、壁の隅に落ちていた太い枝のような物を拾い集めた。二本。
もう一人の人物も手馴れた様子で見つけ、拾い上げた。二本。
それから最後にボールの様な物を拾い上げた一個。
間違いない。
俺は………人を殺した。
ただ殺しただけじゃない。手足と頭を切断している。
想像した瞬間、腹から何かが逆流してくるものを感じた。
「うっ………」
我慢できない。
オレはその場で逆流してきた物を吐き出した。
夢の中とは言え、リアルすぎる…。
「アイト団長!? 大丈夫ですか?」
一人がこちらに気付き、駆け寄ってきた。
先程まで黒かったローブに液体が付着し、奇妙な模様を浮かび上らせていた。
「あぁ……すまない、急に気持ち悪くなって」
「待って下さい。手を貸します。 おい、それ一人で運べるか?」
「大丈夫だ。問題ない」
「よし、団長。肩に掴まって下さい。そろそろ人の往来が始まります。それまでに戻りましょう」
奥に居る一人が全てを包み込み、路地から出てきた。
「さぁ、帰りましょう」
肩を担がれたとき、自分の服についているエンブレムを見た
巨人を掃討する『調査兵団』じゃない
しかし、かと言って『駐屯兵団』のエンブレムでもない。
これは……『憲兵団』?
俺…憲兵団の団長なのか…?
憲兵団って…人を殺すのか?