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陰陽師と半人魚

第3章 日常


「(昔から妖怪と仲良くしてきてた。
そして小学校に入って人間とも仲良くしだした。
それで、その仲良くしだした人間に、昔から仲良くしてた妖怪に否定された。・・・か)・・・リクオ様」
「・・・なに」
「確かに妖怪は悪い者もいます」

そう言うとぴくりと体が震えた。
目から涙が溢れたのだろう。ポタリと畳に落ちた音がした。

「ですが、良い者もいます。
お祖父様のぬらりひょん様は勿論、お父様も、貴方を小さい頃からお側にいた雪女、青田坊、黒田坊・・・。
その者らが悪い者に思えますか?」

聞くと勢い良く頭をあげ、撫でていた手が弾かれた。

「思わないっ!おじいちゃんも雪女も青も黒も、全員良い奴だよ!」
「そうでしょう?
周りがどう言おうと、彼らは悪い者ではありません。
なら、そうウジウジせずに胸を張って下さい」
「う、ウジウジなんかしてないよ!
亜弥をからかっただけだもん!!」

いたずら成功したー、恥ずかしいのかいつも以上に棒読みだった。

「そうですか。本当にウジウジなさってたら若菜様に申し上げようかと思ってたんですが・・・」
「そ、そんな必要ないよ!」

スパン、障子を勢い良く開けて飛び出した。

遠くから「あ!漸く見つかりました!」と首無しの声がした。
先程まで辛気臭い話をしていたせいか、いつもに増して元気が良い声に聞こえた。

「・・・そう、悪い妖怪ばかりじゃない・・・。
でも、悪い妖怪はいる。・・・確実に」

私は確実に悪い妖怪に入るんだろうなあ・・・。
自虐的に笑いながらそう呟いた。

いつもに増して外は五月蝿い。
今日を境になにかが起こりそうだ。それが悪いのでなければ良いのだが。
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