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蒼き昊をみすえ

第2章 出会い


 「龍姫?」
 いつものように目が覚めた。遠い昔のようで、ほんの数年前の出来事を毎日夢に見る。あの運命の日の出来事を・・・
 敷物の上で静かに座っている、綺麗な薄紅色の着物を身にまとっている少女の名は『国府宮 龍姫(こうのみや)』。
 帝に仕える国府宮家に八つのときに引き取られてきた。養父は宮中では右大臣という地位に付き、養母は何代か前の帝の血を継ぐ家系の出である。所謂貴族という家柄である。
 彼女を起こしに来た少年は、龍姫とよく似た顔をしている。深青の袴を穿き、真っ白な胴着を身に纏っていた。彼の名は『前園峰龍(まえぞの)』。彼もまた、八つのときに前園家に引き取られた身である。二人は同時に発見され、共に親戚関係にあった国府宮家と前園家に養子として別々に引き取られたのである。丁度その頃、不思議なことにその家々で子どもが不治の病にて亡くなっていたのである。何かのお導きだと家々の者は、二人を引き取ることになんの躊躇もなかった。
 そして、不思議なことに二人が発見された当初は自身の名と共が親戚だということ以外何も覚えていなかった。いや、正確にはそういうふう言うように鍛錬されていたのだ。
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