第1章 ミセバヤ
そんな生活から早3年。中3になった私たち。仁王君は、【コート上の詐欺師】と言われるようになっていた。なんなんだその異名。物騒だろうが。そんな奴と幼馴染とかほんとやだ。ま、周りは知らないからいいんだけど。
「何が知らないって?」
「だから、私と仁王君のこ・・・と・・・?」
「あぁ、幼馴染なんだってね?」
そういったのは3年間同じクラスで、最近やっと復活した真っ黒魔王様。
「は?」
「いえ。幸村君。何故ここに?」
「さっき席替えしたんだ。」
「私変わってない。」
「僕だけだからね。」
やっぱり絶好調だ。読心術使うなや。マジビビるやん。溜息でちゃうよ、ほんまに。
「ていうか、読まんでください」
「い・や」
そう、にこやかに言う彼は一見したらただの美少女だ。一見したらだ。真剣にテニスをしているときはほんと男前だと思うんだけどなぁ。
「ねぇ、いい加減。仁王に会ったら?」
「い・や」
さっき、幸村君がしたみたいに言ってみる。カタコトなった。しかも、全然可愛くない。自分キモい。
「慣れないことはするものじゃないよ」
「うん。わかっとるよ」
「それより、早く仲直りしなよ」
「無理。私、悪ないし」
「鷹鴇。仁王だって悪気があったわけじゃないよ。我慢できなかっただけで。」
「なお悪いわ!!」
そう。私と仁王君只今絶賛ケンカ中。