第1章 ミセバヤ
昔から知っている彼。転勤族の私、鷹鴇夏帆の両親と仁王雅治の両親は同じ会社の同僚だった。離れたところでも、最低年一回は一緒に遊ぼうと両親たちの計らいで私たちは必然的にあっていた。
中学に上がる事になり、私は中学受験をしてみたいといった。仁王君もまた同じで、立海大を受けるのだと連絡してくれた。両親は、仁王君と同じところならばと条件をだし、私も立海を受けることになった。
「なんじゃ、一緒のとこ受けるんか?」
「うん。そうなった」
「ふ~ん」
そう電話ごしで報告する。彼はいつものように飄々と答え、電話を切った。そのときの彼が電話の向こうで喜んでいることは知らなかった。
無事合格した私たちは、それぞれ一人暮らしすることになった。仁王君はお姉さんと一緒に暮らすらしいが、雅実ねえさんは仕事でほとんどマンションに帰らないから実質仁王君は一人暮らしだ。
ということで、私が彼と生活を一緒に送る係に任命されたのは、必然だったのかもしれない。