第19章 辛い記憶
夏妃は何度か名前を呼ばれ、体を揺すられて目を覚ました。俺と研磨は2人で喜び合って、おばさんは泣いていた。
夏妃はずっと眠っていた状況だったから虚ろな目をしていた。
俺たちが一安心していたのも束の間。診察のため俺たち部屋から退室してお昼ご飯を軽く済ませて帰ってくると夏妃がいつもの様子とは全く違った。
黒尾『夏妃大丈夫か?』
夏妃『え、えっと、その・・・誰、ですか?』
え?この部屋にいた俺と研磨とおばさんは頭の上に?を浮かべた。
黒尾『誰って・・・俺はお前の近所の黒尾鉄朗だろ!』
夏妃『分かんない。』
マジかよ。冗談はやめてくれよ。
すると医者が部屋に入ってきた。そして今起こった状況を話した。医者は診察をしている最中におかしいと感じて俺たちを探していたらしい。
医者『いくつかの質問をしていたら、何も答えられていませんでしたが自分自身の名前は答えられていました。』
黒尾『夏妃!何か、何か他に覚えてることはねーのか?!』
夏妃『・・・孝支くん。』
黒尾・孤爪『孝支くん?』
誰だよ。俺らの学校でそんな名前の人居なかったはずだが・・・。
叔母『その子って小さい頃に遊んでた子じゃないかしら?』
医者『そうなのかな?』
夏妃『うん。』
医者『とりあえず脳に異常がないか検査をしたいんですが、よろしいでしょうか?』
叔母『はい、よろしくおねがいします。』