第18章 作詞系女子:笠松
「この前録音してから、家で毎日聴いてるの。幸のこと思い出しながら」
「……オレも、弾くときいつもお前のこと、考えてる」
はさらっと言ってたけど、これ言うのかなり恥ずかしいな。
……お前言うのは平気なのに言われたら照れるのかよ。
ますます恥ずかしくなるじゃねぇか!
「あのね? 実は……この曲に合わせて作詞してみたの」
「へぇ、すげーな」
詞が書かれている紙を見せてもらった。
読んでいくうちにあることに気付いた。
これは……。
はぁ、ったくお前は……。
「これ……」
「うん。幸への愛を歌に込めました! ……あぁ恥ずかしい」
……森山が乗り移ってんのか?
でも、そうか……オレのことこんな風に思ってくれてたんだな。
いつも、オレはこいつに見合ってんのかとか、嫌な思いさせてねぇかとか不安だ。
けどこれ見てよくわかった。
は、心からオレを好いてくれてる。
嬉しさがじんわりと胸に広がっていく。