第7章 湯豆腐系女子:赤司
が丁寧にナイフを入れると、ふんわりとケーキが香る。
ん……? おっと…… ! ?
「ちょっと止めてくれ」
「あ、はい」
「なぜ味噌の香りがするんだ?」
おかしいだろう。
ショートケーキじゃないのか?
……僕の鼻がおかしいとでも?
「え、だってこれ……バースデー湯豆腐だし……」
バースデー湯豆腐?
それで味噌が?
……いや待て、納得するにはまだ早すぎる。
「失礼します。お嬢様、こちらを」
「ええ、ありがとう」
使用人が持ってきたものは……僕専用の湯豆腐の諸々だ。
これらは流石に予想外すぎた。
今僕の顔には表情がない。
「征十郎は湯豆腐が好きだから……あの、迷惑だった?」
「迷惑ではないが、湯豆腐は湯豆腐として食べるべきだ」
「だから湯豆腐セット貸して?」
そういう問題ではないんだ、もっと根本的なところがおかしいことに気付いてくれ。
湯豆腐をケーキにするなんて……。