第39章 甘党系女子:黒子
「あ、テツヤ」
「……どうも」
モタモタしているうちに声をかけられました。
よく気付いてくれましたね……でも今は少し情けない気もします。
えっと……普段、どんな会話をしていたんでしたっけ。
部活とか?
「部活終わりですか?」
「うん。でも帰る気になれなくて、ちょっと気分転換してたの」
「そうですか。でももう暗いですし、そろそろ……。良かったら送りますけど」
我ながら随分と饒舌に話したと思います。
さんは少し思案顔をしていましたが、「じゃあ、お言葉に甘えて」とニッコリして言ってくれました。
ボクは、やっぱりその笑顔が好きです。
暗い路地を二人で歩く。
ポツポツと会話はしましたが、さんをなんとなく意識してしまって、うまく話せません。
でも、思い切って、聞いてみます。
「さんは、彼氏はいますか?」
「え? いないよ。いるように見える?」
「いても、おかしくないと思いました」
いない……その言葉にホッとしました。